私的山in新潟 燕 
毒書生活分類(外国) 作者姓アイウエオ順
作者と借出日 題名と感想
 
ジョン・アップダイク 終焉
2024
3/12
66歳の男の性生活。最初の妻、二人目の妻、娼婦も家に入れて。少女とも。それと庭や自然の描写は私小説のよう。キリスト教への言及もある。ところが中国との戦争後の世界。だから貨幣が違ったり、行政も違っているようで会社組織のみかじめ料を取られる。取り留めの無い小説。372ページを書くのに何でもかんでもぶち込んだようで、退屈だった。(竹)
イ・ギホ 舎弟たちの世界史
2023
9/28
韓国の軍人大統領の時代、アカ狩りが行われ、でっち上げの逮捕と拷問により罪人を作っていた。見に覚えに無いタクシー運転手も政治犯に仕立て上げられる。重い主題だが軽妙な語り口が救い。巻末の注釈は親切。「誰にでも親切な教会のお兄さんカン・ミノ」以来2作目。題名で暴力団の世界かと思ったが違う。スムーズで面白かった。(竹)
アーナルデュル・インドリダソン 悪い男
2024
8/30
アイスランドの犯罪捜査官エーレンデュルのシリーズも七作目。ただこれは同僚の女性捜査官のエリンボルグが主人公。首都のレイキャヴィクで喉を切られた男の遺体が発見される。男はレイプドラッグを所持していた。捜査するうちに男による強姦事件が浮かび上がる。エリンボルグ自身の家庭問題も描かれる。エーレンデュルは失踪のまま。(竹)
アーナルデュル・インドリダソン 印 サイン
2023
4/28
アイスランドの捜査官エーレンデュルのシリーズ6作目。自殺した女性は死後の世界を信じ、亡くなった母の印(サイン)を待っていた。エーレンデュルは幼い時に行方不明になった弟に囚われ続け、死後の世界や行方不明者も気になる。証拠が無く正式でない捜査を一人で行い同僚から非難される。孤独な男をユーモアを挟まず人間らしく描いている。(竹)
ジョン・ウィリアムズ ストーナー
2024
11/26
最初に主人公が、華々しい活躍もせずに世を去ったとあった。ちょっと退屈な本かと思ったら大間違い。大学助教授として昇進を望まず、学生に教える事に専念し、信念を貫き、その為に恨まれ妨害を受け、家庭では恵まれないが淡々と生きた男の人生は感動もある。初出は1965年アメリカだが、2006年に復刊され再評価された作品。面白い。(松)
ベン・H・ウインタース カウントダウン・シティ
2023
7/11
小惑星が地球に衝突するまで残り2ヶ月。天変地異は起きていないのに、職場放棄する人間が増え社会を維持出来ない。それなのに、自分には関係無い人探しをする元刑事。借りてみたら、未読の三部作の二部と知る。元刑事の動機や世の中の噂は不明のままのこの作品にフィリップ・k・ディック賞とは。ソコソコ楽しめたがそれ程でも無い。(竹)
キルメン・ウリベ ムシェ 小さな英雄の物語
2024
10/29
スペイン内戦の疎開児童を引き取ったベルギーの男。第二次世界大戦によるナチスの侵略で児童をスペインに帰す。そこから自身のレジスタンスの戦いが始まり、終には捕らえられる。それでも収容所で活動。困難な時代には歴史に残らない小さな英雄が現れるという。小市民を題材にした小説。戦争は人間を変えるが、立ち向かう人間もいる。(竹)
ポール・オースター シティ・オヴ・グラス
2024
1/16
詩や戯曲を書けなくなった作家が名前を変えてサスペンスを書いて生活していた。ポール・オースター宛の電話が来る。現実の作家名が出て、どういう小説なのかと読む方は混乱。その男は探偵のようで、作家は成りすまし依頼を受ける。事件は起きず結末も変な小説。前に読んだ「ムーン・パレス」はまともだったが「ミスター・ヴァーティゴ」は変だった。(竹)
ユッシ・エーズラ・オールスン 特捜部Q カールの罪状
2023
10/10
シリーズ9巻目。自殺や事故とされて来た事件が連続殺人と分かってくる。品性下劣な方法で金儲けする奴を標的に、神の代りに罰を与えると思い上がった人達。特捜部Qは全力を挙げて取り組むが、コロナ禍や責任者のカールが過去の事件で同僚に追われる事もあり、捜査が難航。次回が最終巻になるらしい。不作の無い面白いシリーズだ。(竹)
ユッシ・エーズラ・オールスン アルファベット・ハウス
2023
7/11
第2次大戦末期、偵察飛行でドイツ領内に落ちた英軍人2人は逃走の末にドイツ人負傷者成りすます。1人は逃げ出しイギリスに戻るが、もう1人はドイツ人の偽患者達に拉致されたまま30年が過ぎる。それまでも同僚が見つけられなかった男は、自らドイツに探しに行く。特捜部Qの作者のデビュー作557ページ。結末がスッキリしないのが難。(竹)
ドナート・カッリージ 六人目の少女
2024
5/18
犬が人の腕を掘り起こす。そこに少女の腕が6本埋まっていた。5人の身元は判明、1人だけが不明。捜査班の警部とは別に民間人の犯罪学者が指揮を執る。そこに若年者の失踪を専門とする女性捜査官が加わる。アイディアは面白いがストーリーを複雑にし過ぎて分かり難い。小説としてのスムーズさを疎外している。イタリア作家だが舞台は無国籍。(竹)
クレア・キーガン ほんのささやかなこと
2024
11/26
40年ほど前のアイルランド。妻がいて5人の娘がいて燃料商を営む男。クリスマスが近くなって自分はキリスト教徒として胸を張って生きて行けるのかと惑う。恵まれない女性を見て何も手助けをしなかったから。ただそれをするには周りから迫害を受けるかも知れない。自分だけで無く家族も。男尊女卑の時代の実在の施設を題材にしている。中篇。(竹)
スティーヴン・キング ジェラルドのゲーム
2023
8/26
山奥の別荘で夫の嗜好で両手を手錠でベッドに繋がれた妻。嫌悪感から夫を蹴ったら倒れて死んだ。聞こえるのはチェーンソーの音と犬の吠える音。脱出劇というよりスリラー。一人残された妻の頭の中は色々な思いが駆け巡るのが饒舌過ぎる。超常現象に逃げなかったのは良いが、この結末の付け方は期待外れ。ジェラルドは夫の名。(竹)
トマス・H・クック 七つの丘のある街
2023
9/7
前に読んだ小説は面白くて、又借りたが犯罪ノンフィクションだった。夫婦がそれぞれの車を使った犯罪。未成年の妻が淡々と殺人を犯す。実話なので面白味は少ない。特に後半の裁判部分は退屈。史上最年少の女性死刑囚は20年後のこの本の出た2003年も生きていて、州知事によって終身刑に減刑になったそうだ。題名の意味は不明。(竹)
ジェイムズ・クラムリー ファイナル・カントリー
2023
11/7
テキサスで事件に巻き込まれ、依頼された件でも流れで悪徳警官を殺してしまう。暴力や殺人の連続。探偵自身ももうすぐ六十歳というのに麻薬はやるし貞操観念も無い。結末は都合の良い終わり方でスマートでは無い。面白く無い事は無いが、好きな小説では無い。登場人物が多過ぎてリストもあるが、メモしないと誰だか分からなくなる。(竹)
ウィリアム・ゴールドマン 殺しの接吻
2024
6/25
ニューヨークで一人暮らしの女性を狙う連続殺人犯とその事件を担当する刑事の物語。殺人犯の動機も刑事の捜査も明らかにしない。そのうち模倣犯も出てくる。3人とも母との確執という共通点がある。被害者の額に口紅でキスマークを書くなど映像的と思ったらテレビの脚本家でもあるらしい。解説者は持ち上げていたが小説としてはイマイチだ。(竹)
バーナード・コーンウェル ロセンデール家の嵐
2024
1/4
伯爵家当主の男は絵を盗んだ疑いをかけられ、嫌疑は晴れるが重圧に耐え切れずヨットで海に逃げる。母の危篤で帰るが男に陰謀が待っていた。ヨットの操船や航海が描かれた海の小説。ただ主人公が身勝手で思い入れが出来ない。結末も途中にヒントを与え過ぎでバレバレ。1989年の作品で、衛星電話やGPSの現在には古過ぎる。(竹)
ソン・ウォンピョン 三十の反撃
2023
5/9
韓国で一番多い女性の名前のキム・ジヘは三十歳になっても非正規で働く。理不尽な事にも声を出せずに泣き寝入り。後から入社した男やウクレレ教室の仲間の理不尽な経験を聞かされ、元凶に対し仕返しをする。仲間の裏切りで傷付いても確実に成長する女性を描く。前作の「アーモンド」の方が好きだが、韓国の風は感じた。また行きたい。(竹)
テッド・チャン 息吹
2023
9/7
SF9編の第二短編集。3編がヒューゴー賞で「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」が好き。市販されたAIを育てる物語。バーチャルの中の存在のAIが、実在のロボットに入り生身の人間とコミュニケーションをする。アイディア自体も素晴らしいが、派生して考えられるものを、これでもかと物語に取り込んでいるのがスゴイ。難解な部分もある。(竹)
チョ・ナムジュ サハマンション
2024
5/18
破綻した自治体を企業が買い取って国家として運営。身分制度で、最下級のサハと呼ばれる人々が暮らすのがサハマンション。閉塞的な環境でも何とか暮らしていく人々。北朝鮮をイメージしてしまうがそうでは無いようだ。実際の韓国の問題も盛り込まれている。「82年生まれ、キム・ジヨン」で日本でも知られている作家。この本はイマイチ共感が持てない。(竹)
チョ・ナムジュ ミカンの味
2024
2/13
韓国の女子中学生4人が高校に入るまでの物語。それぞれの家庭の問題、韓国の男社会、韓国の頻繁に変わる学校行政、一番はそれぞれの性格が表されている。それぞれの努力と葛藤の末に勝ち取った済州島旅行。都会と比べて実際に木に生っているミカンを食べて美味しいと感動する。この本で韓国最高峰が済州島にあると初めて知る。(竹)
ヨハン・テオリン 冬の灯台が語るとき
2024
2/27
スウェーデンのバルト海にある細長いエーランド島が舞台の第二作。ストックホルムから移住した家族が灯台近くの古い家を買い、自分達でリフォーム。あり得ない声を聴いた後に悲劇を伝えられる夫。冬の季節の荒々しさや、古い家や、超常現象が、過去も交えて重い雰囲気を出している。前作に出た老人が良い味。前作もそうだが題名が気取り過ぎ。(竹)
ヨハン・テオリン 黄昏に眠る秋
2023
11/21
高齢者施設の男に送られて来たサンダルは20数年前に失踪した孫のものだった。その島では戦時中にドイツ兵を殺し、警官を殺し逃げた男がいた。ただ孫の失踪時には死んでいた。祖父と母親である娘は孫の手掛かりを追う。スウェーデンのエーランド島シリーズの初回。時を遡って島の栄華を表し、秋の石灰岩台地の荒涼が引き立つ。(竹)
コリン・デクスター 死はわが隣人
2024
7/30
モース警部シリーズの最終作という噂があった。第一作が「ウッドストック行最終バス」で題名は覚えているが他の作品は覚えていない。TVシリーズも少し観た程度。本作はオックスフォード大学の学寮長になりたい男二人。其々の妻も応援。当然、殺人事件が起きる。でも現役の名誉ある学寮長はクズ男。紆余曲折の推理に付いて行くのが大変。(竹)
アンソニー・ドーア すべての見えない光
2024
9/24
パリの博物館に勤める父親と暮らす盲目の少女と、ドイツの孤児院のラジオを組み立てられる程優秀な少年の話が交互する。第二次大戦でドイツがフランスに侵攻して二人の距離が近付く。短いセンテンスで読み易い。でも500ページ超。ナチスドイツについては何度も書かれてきたが、終盤に不意打ちの感動。2015年ピュリッツアー賞受賞。(松)
ジョー・ネスポ 真夜中の太陽
2024
4/3
ノルウェーの北、少数民族が住む土地にギャングから金を奪った男が逃げて来る。教会の下働きをする若い母子と知り合う。ギャングの追手に怯える男だが、夫は海で死んだらしいと聞かされ、恋心を抱く。男はカッコ良くないし、盛り上がるシーンも無いし、結末もグダグダ。全く面白く無い小説。その地方を表すような陰鬱な感じだけは漂っている。(梅)
ジョー・ネスボ その雪と血を
2023
6/27
麻薬組織に雇われる殺し屋。人は殺しても情はあり口の利けない娘を助ける。次の殺しの依頼は浮気をしているボスの妻。殺人の為にボスの妻を見張っているうちに情が移る。ノルウェーの首都オスロを舞台にした犯罪小説。200ページに満たない新書版。無駄なふくらみが無くて直線的なストーリー。作中の「レ・ミゼラブル」が結末を予感させる。(竹)
アントニイ・バークリイ 服用禁止
2024
8/30
小さな村の近所付き合いの中心のような男が死ぬ。前日まで元気だったので村は大騒ぎ。ロンドンからも捜査員が来る。裁判の場で真相?が明らかにされる。本格推理小説という事で、果樹栽培者の「わたし」が読者と情報を共有する。作者からの挑戦文の後に解決編があるが、こういう形式はスッキリしなくてモヤモヤが残り、好きでは無い。(竹)
リチャード・パリッシュ あなただけは許せない
2024
8/13
シングルマザーだが裕福な女性は、売春をしていた少女を養女として引き取る。養女のひもだった男が、2人の客を女性の家に送り込んでレイプさせる。その時に娘も被害に遭いHIVに掛かる。ストーリーの中で、女性が無用心過ぎる。家のセキュリティも養女の過去についても。それと、裁判シーンと宗教シーンが長過ぎて飽きてしまった。(竹)
エドゥアルド・ハルフォン ポーランドのボクサー
2024
10/15
グアテマラに生まれアメリカに移住したが、グアテマラで教師をするユダヤ系のルーツを持つ作者。これは三つの短編集を一つにしたもの。12編を収める。当然ユダヤ系の作品もあるが、ジプシーの音楽を追い求める作品もある。表題は作者の祖父を収容所で助けてくれた人。自分は、民族のルーツとか伝統とか遺産とかからは、遠い所にいる。(竹)
ロバート・ファン・ヒューリック 紅楼の悪夢
2024
7/16
中国の唐時代、判事が出張途中で立ち寄った歓楽地の島で殺人が起きる。30年前と似た事件。当地の判事から依頼され事件を副官と共に調べる。作者はオランダ人で東洋研究の人。古い中国を舞台にしたミステリーも趣向が変わって面白い。このディー判事シリーズを初めて知った。作者は1967年に東京で死去。日本に馴染みの人か。(竹)
レジナルド・ヒル 武器と女たち
2024
6/25
前回借りた本が面白くなかったので、定評のあるダルジール警視にする。どこまで読んだか分からないシリーズなので、新しい方の16作目を題名にも惹かれ借りる。この作は主任警部の妻がメイン。情報機関や元テロリスト、ギャングが入り乱れ、ダルジールも面目躍如。登場人物が多過ぎる嫌いがあるがまあまあ纏まっていて面白かった。(竹)
ケン・フォレット 獅子とともに横たわれ
2024
1/16
イギリス人女性は付き合っていた男と別れ、別の男と結婚し二人でアフガニスタンに医療支援に行く。そこで出産する。夫はソ連のスパイと気付く。別れた男はアメリカのスパイで女性を追ってアフガニスタンへ。1985年作で当時はタイムリーなサスペンス小説だったのだろう。小説中に避妊は女の役目とあったのに驚いた。冒険的面白さが不足。(竹)
チャールズ・ブコウスキー くそったれ!少年時代
2023
6/13
自伝的小説で、ドイツでのおぼろげな記憶からアメリカで20歳での真珠湾攻撃までを収める。愛情の無い家庭に育ち、ケンカが酒とケンカに変わり、漠然と小説家を目指す。最初に「パルプ」を読んだので、ハードボイルドの作家と思っていたが、他には別の時期の自伝的小説だけと知った。原題はライ麦パンハムサンドだが全然伝わらない。(竹)
ブレイディみかこ 両手にトカレフ
2023
11/7
ロンドン近郊の低所得団地に住む14歳女子。父はいないし母は酒と薬漬け。弟と自分の面倒をみているが、福祉が母親を収容し弟と離ればなれになるのを心配している。境遇が似ている日本人女性の百年前の自伝と、ラップの文章が良いと言ってくれる同級生に希望を見て生きる。題名はリリックの一部分。面白かった。続編を読みたい。(松)
ジョナサン・ホルト カルニヴィア3 密謀
2024
4/27
イタリア憲兵隊の女性大尉と、イタリア駐留米軍の女性少尉と、幼い頃の誘拐で顔を損傷された天才的なIT技術者の男が、歴史的で世界的な陰謀を暴こうとするヴェネチアを舞台にしたサスペンスシリーズの最終作。奔放な大尉と真面目な少尉の対比が面白い。ストーリーにネットでのテロがあるが、本当にこんな事があったら恐いと思った。(松)
ジョナサン・ホルト カルニヴィア2 誘拐
2023
12/19
イタリア米軍基地の建設現場で人骨が発見。米軍将校の娘が誘拐され、イタリア憲兵隊女性大尉と米軍女性少尉が事件に取り組む。大戦直後にイタリアの米軍とヴァチカンの協力で共産系レジスタンスを排除した歴史が今に影響。実話もあり、リアリティで読み応えのあるストーリー。CIAの陰謀は真実と思わせる。今回も面白かった。(竹)
ジョナサン・ホルト カルニヴィア1 禁忌
2023
8/15
憲兵隊の女性大尉と米軍基地に赴任した女性少尉が主人公。殺人の捜査で出会い、旧ユーゴスラビア内戦の女性虐待の経緯と責任を調べる。誰が味方か敵なのか。強大な敵に対してあまりにも弱い二人。イタリアのヴェネツィアが舞台のサスペンス。作家名は聞いた気がするが、この本は初めて知った。文句無く面白いので続編期待する。(松)
アンソニー・ホロヴィッツ 殺しへのライン
2023
6/13
「ホーソーン&ホロヴィッツ」シリーズ3作目。島の文芸フェスに招待された探偵と小説家の二人。島は墓地が送電線計画で荒されると、住民を二分する争い。殺人が起き、経験不足の警察からホーソーンは捜査を依頼される。探偵と作家のコンビが事実を探る。ヒントが散りばめられていて、読者も犯人を捜すのだが、なかなか分かるものではない。(竹)
J・C・ポロック 狙撃
2023
12/5
南米の麻薬組織が取締りに反発して、合同でアメリカ大統領の暗殺を企む。殺し屋は元グリーンベレー隊員。それを察知した元デルタフォース中佐とシークレットサービス課長が探り対応する。前作を知らずに読んでガッカリ。よくあるストーリーだが30年前の作品にしては良く出来ている。ただ結末はケチ臭い終わらせ方で納得出来ない。(竹)
エリック・マコーマック 隠し部屋を査察して
2023
8/1
風変わりでグロテスクで意味も無いような20編の短編集。表題作の主人公は、全体主義国家で思想の罪で個別に収監された人間を見回る査察官。理由が無くても、罪人とされた人間も周りも甘んじて受け入れる社会を描く。前に読んだ「パラダイス・モーテル」は面白かった。そのストーリーを入れた短編もある。短編は断片的で面白味が薄い。(竹)
エリック・マコーマック
2023
5/9
カナダから出張の男は、メキシコで不思議な現象を記した本と出合う。そこは男が一時暮らしたイギリスの町で、愛を失って出国する原因となった。波乱万丈の人生を送った男だが、その本の調査を依頼して自分の過去と向き合う事になる。著者の幻想小説は「パラダイス・モーテル」「ミステリウム」に続いて3冊目。明らかにならない不穏のままの結末。(竹)
ピーター・マシーセン 黄泉の河にて
2024
12/10
1927年ニューヨーク生まれの作家で2014年の亡くなる年に出版。10編を収めるが、古いもので1950年に書かれている。人種差別がハッキリしていた頃の世相で、もう何度も見聞きしたが。1963年「薄墨色の夜明け」は、精神病棟で働くボランティア女性の善意から大きな事件になる話。冷たく接したら事件にならなかったのに。よくある主題。(竹)
ブラッド・メルツァー 大統領法律顧問
2024
12/24
大統領の法律チームで働く青年は大統領の娘から誘われる。奔放な娘に惹かれるうちに青年は事件に巻き込まれて行く。内容は饒舌な会話劇が続き、退屈。人物にも魅力が無く、感情移入が出来ない。ページ数を増やす為のエピソードなのか、登場人物も多い。これがアメリカ的小説か。速読で、やっと読んだ。この作家はもう読まない。(梅)
トレヴァー・モリス 辮髪のシャーロック・ホームズ
2024
12/24
表題通り中国人の名探偵の活躍話を友人医師が書き留める。19世紀末の香港を舞台にした6編を収める。作者自身がシャーロック・ホームズのファン。実在の人物や故事を引き合いに出しリアルを追求。難しい漢字が多数出て、訳者も大変だっただろうが読む方も大変。全部カタカナにして貰った方が読み易かっただろうが格調が落ちるか。(竹)
トニ・モリスン ビラヴド(下)
2023
4/10
女性がいた農場は奴隷には優しい経営だったが経営者が替わり厳しくなり何人も逃げ出す。女性は逃亡先で追っ手に捕まり、死のうとして上の娘を殺してしまう。女性は刑を終え戻るが黒人社会から見放され、下の娘と二人で暮らす。そこへ殺した娘が蘇って現れ、気が変になってしまう。ビラヴドの意味はBe Lovedで愛されし者か。過酷な史実だ。(竹)
トニ・モリスン ビラヴド(上)
2023
4/10
身重の黒人女性は逃亡し娘を産み、夫の母の家に身を寄せる。夫は行方不明、家には赤ん坊の幽霊が出て息子二人も家を出る。娘は大きくなるが義理の母は亡くなる。奴隷仲間の男が来て、幽霊を追い出す。その後にビラヴドという名の少女が現れる。回想シーンでは家畜同然の奴隷解放前の生活が描かれる。表現が曖昧で筋が分かり難い。(竹)
ピーター・ラヴゼイ 暗い迷宮
2024
2/27
記憶喪失の女を巡る様々な事件をダイヤモンド警視と女性警部が探る。警部は警視の欠点を補い、幾つも事件が一つに繋がって行く。説明されているが原因となった犯人の思い込みはあまり納得出来ない。結末の謎解きも駆け足で今ひとつ。最後で女性警部は警視に愛想を尽かし、転勤する。このシリーズは順番に読んでいないが、まあ楽しめた。(竹)
ピーター・ラヴゼイ バースへの帰還
2024
1/4
ピーター・ダイヤモンドシリーズの3作目。無職の元警視は副署長の娘の誘拐事件に駆り出される。犯人は元警視が捕まえた男で、刑務所を脱走してまで無実を証明しろと言う。4年前の事件を女性刑事と捜査する。登場人物が多く伏線もあり、二つの事件の進行も複雑で楽しめた。10月に読んだ2作目よりは面白い。シルバー・ダガー賞受賞作。(竹)
ピーター・ラヴゼイ 単独捜査
2023
10/24
警察を辞めた元警視がロンドンのデパート警備員で勤める。深夜、担当部署に子供が隠れていてデパートもクビになる。その子は自閉症で日本人で親が名乗り出ない。アメリカや日本での親探しがマフィアが絡む陰謀に巻き込まれる。主人公はデカいが、デブで禿頭で気が短くてカッコ悪い。金にならない事に文句を言わない奥さんが偉い。(竹)
ジュンパ・ラヒリ わたしのいるところ
2024
7/30
作者はアメリカ育ちのベンガル人で、インド系移民の家族をモチーフにした小説を書いて来たが、現実の土地の設定から書く事は無いと話した後の小説。これは作者がイタリア語で書いた小説。登場人物は一人暮らしの女性で、年を経て穏やかに暮らしている。46の章にその女性の生活が描かれている。個人的には前の作風の方が好き。(竹)
ジュンパ・ラヒリ 低地
2023
12/5
この作家は4冊目。アメリカ育ちだがルーツのベンガルとアメリカを舞台にした物語。年の近い兄弟の兄はアメリカに留学、弟はインドで共産主義運動に関わり殺される。兄は弟の妻で妊娠している女を娶りアメリカで生活するという家族の年代記。カルカッタという街は今は現地読みにコルカタというようだ。作家は次回から別の視点で書くらしい。(竹)
R・A・ラファティ 宇宙舟歌
2023
10/10
宇宙船で旅する男達。行く先々で色々な種族に出会って色々な目に遭う。テキサスの裏山でも良さそうでSF的要素が一つも無い。自分には合わなくて飛ばし読み。それも2008年に読んでいた。その時も飛ばし読みか、覚えていない。面白くても忘れてしまうが。他も読んだがドタバタSFが多い。この作家はもう読まないようにと思うが忘れてしまう。(竹)
ウィリアム・ランデイ ジェイコブを守るため
2024
6/1
アメリカの田舎町で検事をする男の十四歳の息子に殺人の嫌疑。男は息子を守る為に見つけたナイフを捨てる。他人の事件なら正義を優先する男も、自分の息子となると愚かになる。男の父親が人殺しである事を家族にも隠していた。息子は殺人の遺伝子を受け継いだのか。絶賛している書評もあるが自分の好みでは無いので、退屈で飛ばし読み。(竹)
クラリッセ・リスペクトル 星の時
2024
10/15
「ぼく」がこれからブラジルの北東部から出て来た女性を語りますよ、という出だしが延々と続き、おもむろに語り出す女性は、不幸なのにそう思っていない。作品としては短い。評価は高いようで映画にもなった(「ぼく」を排除して女性が主役)。面白いかどうかと言えば全く面白く無い。それは自分が悪いのだと思わなければいけないらしい。(竹)
ジョナサン・レセム 孤独の要塞
2024
4/3
1960年代にニューヨークのブルックリンで暮らし始めた白人少年の自伝的な成長記。黒人が大多数の学校に通いいじめにも遭い、それでも黒人の友達を得る。ドラッグとミュージックにまみれセックスはそれほどでもの成功と失敗の青春。ブルックリンと言えばボーリング用語しか知らない。面白く無い訳では無いが、800ページに2週間掛かる。重かった。(竹)
パーシヴァル・ワイルド ミステリ・ウィークエンド
2023
8/15
表題の中篇と3つの短編(1つはショートショート)を収める。表題は雪のスキー場のホテルで起きる殺人事件。身元を偽る人物が多く誰が探偵かも分からず混乱。「P・モーランの観察術」は、以前に読んだ「探偵術教えます」の素人探偵出て来て懐かしい。今年の3月に読んだのか。ユーモアが混じったホンワカしたミステリーは馴染み易い。(竹)
パーシヴァル・ワイルド 悪党どものお楽しみ
2023
5/30
若くして家を出てギャンブルで生活していた若者が食い詰めて実家に戻る。改心して農家を手伝うが、詐欺に遭った男を助けた事から気に入られ、他の詐欺も摘発する。連作短編8編。1929年の作品。アメリカが舞台のせいか古い感じがしない。女性はあまり出ないが、カードゲームは男の趣味となっているせいか。ただ、あっと驚くようなトリックは無い。(竹)