s
o
| 私的山in新潟 | ||
| 毒書生活 | ||
| 燕市立図書館蔵書案内 | ||
|
読みすぎは身体に毒です。1日1冊以下にしましょう。面白い本は止まりませんが、寝る間を惜しむと身体の毒です。だから、面白くなさそうな本を混ぜて借りています。でもそんな気遣いもいらないようです。賞を取っていたら面白い本かというとそうでも無く、ネットで推奨しているから面白いかというとそうでも無く、何を基準に選べば良いか分からなくなって来ています。 |
||
| 作者と借出日 | 題名と感想 | |
| 姉小路祐 | 再雇用警察官 | |
| 2025 10/21 |
![]() |
定年後も再雇用を望み大阪府警の消息対応室に配属された元警官。事件性のあると思われる行方不明者を探す係。他に室長と若い女性の三人が働く。世の中には借金や犯罪で逃げている人は大勢いるらしい。再雇用という、ガチガチに組織に縛られないで、ある程度自由に動ける身分の警察官という小説は目の付け所が良い。(竹) |
| 楊双子 | 四維街一号に暮らす五人 | |
| 2025 10/21 |
![]() |
台湾に実在する四維街一号という古い屋敷を舞台にしたフィクション。大学院の4人と大家が住む女性専用のシェアハウス。性格に違いがあるが優しさは共通。それぞれを主人公にした連作5編。ほぼ女性しか出てこない。作者が、女性の友情から性愛までをグラデーションに表している百合小説と読了後のあとがきで知った。感動的シーンあり。(松) |
| 五十嵐貴久 | TVJ | |
| 2025 10/7 |
![]() |
テレビ局に北朝鮮特殊部隊を名乗る者たちが現れ銃や爆弾で脅迫して人質を取りテレビ中継をさせる。日本政府に原発の停止や身代金の2千億円を要求する。経理の女性が一人だけ取り残される。その女性が主役だが、一般人なので大した事は出来ない。胸のすくような面白さは無かった。似た様なストーリーの映画を観たような気もする。(竹) |
| リディア・デイヴィス | 分解する | |
| 2025 10/7 |
![]() |
短編集より短いからショートショート集か。と言ってもショートショートの特徴であるアイディアの濃さはそれほど感じられない。表題作は、それでもショートショートらしい出来で、男が終わった女との関係を金銭で測ろうとする。他は普通の短い小説。エッセイかと思うような小説もある。あまり面白さは感じなかったが、医院の待合でスイスイ読めた。(竹) |
| 天羽恵 | もゆる椿 | |
| 2025 9/26 |
![]() |
旗本とはいえ次男坊の冷や飯食いが裏目付の役を与えられたのが、刺客を江戸から京へ送り届ける役目。その刺客が12歳の少女。確かに腕は道場剣術の次男坊より数段上。それに武士の娘で、暗殺を請け負う里に預けられてから腕を磨いたらしい。それが嘘くさい。エンターテインメントとしてはスイスイ読めるがそれだけ。もう少し重みが欲しい。(竹) |
| チョ・ナムジュ | 耳をすませば | |
| 2025 9/26 |
![]() |
知能は低いが耳が良い男の子を巡って、親やテレビ局の下請けのPDや客が少ない商店街の総務が其々の思惑で右往左往する。男の子が能力を発揮するのが、昔は茶碗とサイコロでやっていたイカサマゲーム。それをコップと玉に替え、金を賭けてテレビで流すというもの。佳境ではこの先どうなるのかという緊迫感があった。貧乏人の悲しみも滲む。(竹) |
| 石田夏穂 | ケチる貴方 | |
| 2025 9/16 |
![]() |
短(中)編2編を収める本。表題作は冷え性の女性の物語。様々な方法を試すが一時的にしか効かず、他人に優しくしたら治ったという不思議な体験。もう一編の「その周囲、五十八センチ」は脂肪吸引を繰り返し痛みに耐え、痛みが生きがいになる女性の話で、大阪女性文芸賞をとる。どちらも目新しい題材で久しぶりに面白い本を読んだ。(松) |
| ル・クレジオ | 嵐 | |
| 2025 9/16 |
![]() |
「嵐」は韓国の小島に、心に傷を秘めた外国人の男が着く。島に住んでいるが、よそ者で父のいない少女と交流。互いに心の隙間を埋めあったのか。少女は明るい未来に向け出発する。「わたしは誰?」は本当の母親がいない少女が主人公。両篇とも無責任な男、虐げられた女という構図。登場人物に混血が多いのもこの収めた二篇の特色。(竹) |
| 佐藤究 | トライロバレット | |
| 2025 8/24 |
![]() |
作家が日本人で日本人が登場しない外国を舞台にした小説は幾つか読んだ。これもアメリカの高校での銃乱射事件をモデルにしている。主人公は三葉虫が好きな男子高校生。イジメにあっているがもっと酷くイジメられている同級生と親しくなる。それとアフガニスタン帰りの男が事件の主要人物。結末は偶然が重なり過ぎ嘘っぽい。安易な設定。(竹) |
| ジェイムズ・クラムリー | 正当なる狂気 | |
| 2025 8/24 |
![]() |
私立探偵シュグルーシリーズ3作目。友人の精神科医からの依頼で、盗まれた診療記録を追う。それが周りに最悪を撒き散らす。探偵は麻薬もやり不倫もし人も殺す。エロでグロでナンセンス。そこまでするか。残酷なシーンは好みでは無い。1作目は普通のハードボイルドだった。幸いに2作目は読んでいないが、間違わなければ読む事は無い。(竹) |
| 松嶋智左 | 虚(うつろ)の聖域 | |
| 2025 8/15 |
![]() |
シングルマザーの姉の高校生の息子が自殺した。興信所に勤める妹は原因を調べるように頼まれる。高校でのイジメを疑い、実の父親を調べると、3人組に襲撃される。入院する程の怪我をしたのに警察に届けないのは疑問。健康保険が利かないはず。その割に色々盛り込み過ぎ。副題が梓凪子の調査報告書でシリーズ化するなら結末は疑問。(竹) |
| エドウィージ・ダンティカ | すべて内なるものは | |
| 2025 8/15 |
![]() |
ハイチ系アメリカ人によるハイチを主題にした短編集。ハイチはカリブ海の島の西1/3を占める国(東2/3はドミニカ)。1804年独立した初の黒人国家。独立後から国として長い苦難が続く。2004年にアメリカ主導のクーデター。2010年には大地震で30万人以上の死者。助けるはずの国連PKO隊員が性的搾取や虐待をし、コレラまで持ち込んだ。(竹) |
| 寺地はるな | わたしたちに翼はいらない | |
| 2025 7/30 |
![]() |
地方都市に生まれ育った女2人と男1人。学生時代の階級やいじめが後を引いて今がある。親に影響され友達に影響された自分を考える。流されずに踏み止まって変わる事を選択する。それは子供を育てるうちに気付いたのか。表題はいじめで2階から飛び降りた主人公の一人に先生が言った「飛び降りるのではなく飛びなさい」という言葉に源がある。(竹) |
| ジェフリー・ディーヴァー | ネヴァー・ゲーム | |
| 2025 7/30 |
![]() |
失踪人や逃亡者を探すのが得意で、懸賞金を掛けられた行方不明者を探して生活の糧を得ている主人公。作者の新しいシリーズの1作目で生い立ちも語られる。作者には期待していたが、内容がゲームを模倣した事件で、自分はゲーム自体が好きでは無いから物語に入り込めなかった。それに昔面白かったと思っても同じ力で書けるとは限らない。(竹) |
| 白石一文 | ファウンテンブルーの魔人たち | |
| 2025 7/19 |
![]() |
生体離脱出来る小説家が主人公。数年前に新宿に隕石が落ちていたり、人間と見分けが付かない精巧なロボットがいたりする近未来の物語。小説家の住むタワーマンションで起きる不可解な死と白い幽霊の出現。小説家が巻き込まれ謎を解く。621ページの壮大な物語。右手首が腱鞘炎で読むのに苦労したが、面白いのでスイスイ読めた。(竹) |
| パトリシア・マコーミック | 私は売られてきた | |
| 2025 7/19 |
![]() |
ネパールの13歳の少女は母と赤ん坊の弟と義理の父と山間地で暮らしていた。義理の父は片腕マヒで働いていない。他に何人も兄弟がいたが食べるものが少なく死んでしまった。街の裕福な家で働くと言われて知らないオバさんに連れて行かれる。その先がインドの売春宿。世界は豊かになったと思っていた2006年の作品で取材して小説化。(竹) |
| 筒井康隆 | カーテンコール | |
| 2025 7/8 |
![]() |
NHKの「100分de名著」の筒井康隆を最近観た(録画は正月)せいで読みたくなった。内容はショートショートで様々な雑誌に掲載されたものを一冊にまとめた24編と付録付き。スイスイ読めたがこうなると長編も読みたくなった。筒井康隆は90歳を越えたらしい。自分も歳を取るはずだ。「プレイバック」には亡くなった自分にも懐かしいSF作家も登場。(竹) |
| マイケル・オンダーチェ | 名もなき人たちのテーブル | |
| 2025 7/8 |
![]() |
1954年にセイロン(現スリランカ)からイギリスまで、11歳の少年の客船での三週間の一人旅の様子を描いている。と言っても他2人の悪ガキ仲間や親戚の女性という顔見知りもいる。事件を巻き起こすし事件にも巻き込まれる。原題は「キャッツテーブル」で食事の席の庶民のテーブルの意味。少年はこの船旅で広い世界を知る事になる。(竹) |
| 恩田陸 | 光の帝国 | |
| 2025 6/24 |
![]() |
特別な力を持つ一族がいた。温和な性格で国の頂点に立とうという者は居なかった。ただ、その力を知られ利用しようという者たちがいて、一族は全国に散った。力はそれぞれ違い、その者たちを描いた短編集。様々な者たちの物語だが、後書きにもあるように一つの家族を描いた方が分かり易かったかも知れない。でも全体として面白く、旅で読了。(竹) |
| チョン・イヒョン | 優しい暴力の時代 | |
| 2025 6/24 |
![]() |
「記録者」と呼ばれる作者が40代になって書いた短編7編と、巻末に翻訳者が推す「三豊百貨店」を収める。ちょっとした理不尽な事を過度には責めもせず、淡々と生活する老若男女の普通の人を描いている。「三豊(サンブン)百貨店」は作者の自伝的小説という。1995年の百貨店の崩落事故は自分にも遠い記憶の彼方だ。全部が読みやすかった。(竹) |
| 凪良ゆう | 汝、星のごとく | |
| 2025 6/4 |
![]() |
それぞれの親の為に狭い島社会の噂話の的になる男女。くっついては離れて、島から出ては戻る。自分の夢を成し遂げたが都会に流された男。臆病で自分の夢に突き進めない女。いつまでも子供を束縛する親達。自分勝手な親を見ても、そうは成れない子。読んでいてストレスが溜まる。人間関係は押しが強いのが勝ちか。スッキリしない読後。(竹) |
| ジョー・ネスボ | 失墜の王国 | |
| 2025 6/4 |
![]() |
ノルウェーの田舎に住む男。父母はとうに死んだ。アメリカから弟が妻を連れて帰ってくる。村を豊かにするというホテルの計画を持って。昔から男の周りには事故死が多く、保安官が怪しんでいる。今度もホテルを巡って不審死が続く。悪漢小説は良いが面白味を感じない。ただの暴力の連続。それに536ページは長い。やっと読み終えた。(竹) |
| 山本弘 | 幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部 | |
| 2025 5/14 |
![]() |
この作家の小説が無くて、ジュブナイルを借りた。ネーミングとかストーリーとか好みでは無いが仕方無い。12年制学園の生徒の読書感想発表会がメインで戦争がテーマのバトル。様々なフィクションやノンフィクションが出て、作家の博識が分かる。自分もSF好きで伏木空に感情移入する。紹介された中に読んだ本もあるが殆どストーリーを忘れた。(竹) |
| ポール・オースター | 幻影の書 | |
| 2025 5/14 |
![]() |
1985年に飛行機事故で妻と幼い息子達を失った大学教授。その後に初めて笑った無声映画に取り付かれ、監督で演者でもある失踪した男の研究書を出版する。何年か後に、死んだと思われた男の妻と名乗る女からの招待状が届いた。それは、人生が終わったと思っていた大学教授に、激しい生を感じさせる序幕だった。予想出来ない展開。(竹) |
| 宮内悠介 | ヨハネスブルグの天使たち | |
| 2025 4/20 |
![]() |
様々な場所での近未来SF連作短編5編。デストピアで、争いや戦争は続いている。別の場所に同じ人間が出てくるシーンもあるが、DX9という日本製のロボットが影の主人公か。ただ現実を見ると最先端のロボットは日本製では無い。SFではもうロボット=日本製は古い。そうするとSFでの日本は何があるのだろう。最近中々面白いSFには当らない。(竹) |
| ピエール・ルメートル | 邪悪なる大蛇 | |
| 2025 4/20 |
![]() |
63歳の女は戦中はレジスタンスの元闘士、現在は変容した組織の凄腕の殺し屋。指示するのは昔からの顔馴染みの仲間だが、男女の関係にはならなかった男。女は認知症が進み、仕事が雑になったと男は思う。殺人事件を捜査する警部。警部が世話になった元知事。好きな作家だが、これは初期の頃のものらしく、面白さがちょっと足りない。(竹) |
| 三浦しをん | ののはな通信 | |
| 2025 3/23 |
![]() |
女子校時代に知り合って恋を感じて付き合ったが、一方の過ちを許せず離れて、中年になってから手紙やメールで復活した二人の女性の物語。後半は片方が結婚して外国で暮らし、もう一方は日本でパートナーと暮らす。20年以上が経過するが、全部が書簡形式のせいか二人以外の人物の登場が少なく、物語の膨らみがなく単調に感じた。(竹) |
| ピーター・ラヴゼイ | 最期の声 | |
| 2025 3/23 |
![]() |
ピーター・ダイヤモンド警視シリーズ7作目。警視を支える優しい妻が殺されるというショッキングな内容。身内の事件なので警視は捜査に加われず、自力で妻を殺した犯人を捜す。恨まれる人間で無いから容疑者が浮かばず難航する。自宅の庭で警視が隠していた拳銃が発見され警視が疑われる。読者にも悟られずに筋が進み納得する結末。(竹) |
| チョ・ナムジュ | 私たちが記したもの | |
| 2025 3/10 |
![]() |
韓国の女性が置かれている現状を小説で表現する作者。韓国の小説家の中で一番読んでいる。「82年生まれ、キム・ジヨン」が有名。これは7編の短編を収める。日本でも生き難いと言われる女性は、韓国では更に因習に囚われて、家庭でも会社でも学校でも虐げられている。男から、或いは女からも。老女から少女までの声が描かれている。(竹) |
| 原ォ | 天使たちの探偵 | |
| 2025 3/10 |
![]() |
私立探偵が依頼を受けて事件を調べる、和製ハードボイルド小説。沢崎が主人公の6編を収めた短編集。東京の街と、そこに生きる様々な人間を探偵の眼を通して描く。緩くも無いが硬くも無い表現が好ましい。無理に結末も付けない。表題の短編は無いが、依頼者が天使なのか、それとも事件を起こした罪深き者か。本が古くて傷んでいる。(竹) |
| 白川尚史 | ファラオの密室 | |
| 2025 2/24 |
![]() |
古代エジプトの神官は死んでミイラにされたが、心臓に欠けがあり、冥界の王に現世に戻される。三日以内に心臓を捜さないと冥界にも居られなくなる。食物のパンにしてもピラミッドの石運びの様子にしても伝わってこない。エジプトの宗教よりも、エジプトの風俗を丹念に描いて欲しかった。トリックも稚拙。「このミステリーがすごい!」大賞らしいが。(竹) |
| 温又柔 | 来福の家 | |
| 2025 2/24 |
![]() |
日本で生まれた台湾人女性の幼少期から成人までの話。台湾語、中国語、日本語が家庭で聞かれるが、家族でもその人の人生によって話す言語の割合が違う。世間的には、見た目は日本人でも名前や言葉で生じる違和感や漢字文化の共通な所や違う所を描いている。そういう家庭の姉と妹で中篇2編に分かれている。すばる文学賞佳作。(竹) |
| たかせ乃一 | 貸本屋おせん | |
| 2025 2/11 |
![]() |
母は若い男と出奔、彫り師の父は自死。父の知り合いや長屋のおかみさんに助けられ、おせんは貸本屋をしている。幼馴染の野菜売りの登は何かと助けてくれて、嫁に来いとも言う。江戸情緒の連作短編5作を収める。折りしもEテレの「3か月でマスターする江戸時代」を観て、江戸に興味を感じている。武士よりもしたたかに生きる庶民目線の物語。(竹) |
| ジョゼ・ルイス・ペイショット | ガルヴェイアスの犬 | |
| 2025 2/11 |
![]() |
ガルヴェイアスはポルトガルにある作者の実際の故郷。1984年に起きた隕石落下後の村の人達の話を1月と9月に分けて綴っている。こちらは当然フィクション。人も食物も村中が硫黄の臭いに包まれるが、皆が皆、気付かない振りをして暮らしている。でも、犬だけは忘れなかった。40年前の狭い村の親子や知り合いの関係性を描いている。(竹) |
| 呉勝浩 | おれたちの歌をうたえ | |
| 2025 1/18 |
![]() |
デリヘルの運転手をしている元刑事に、昔の仲間の死を知らせる電話があり、長野県上田市に帰る。故郷で幼い頃を過ごし、殺人事件も体験した仲間はバラバラになった。過去と現在を行ったり来たりの筋書き。大河ミステリーとあるように600ページ近い量を読み切るには自分の好みではなく挫折。視力が悪化したのも原因。他の2冊も読まないで返却。(竹) |
| 過去の毒書生活 | ||
| 過去のものは、作者姓をあいうえお順にして分類しました。長岡(日本、外国)、燕(日本、外国)。おすすめの「松」ランク(うちの店では松が特上です)をまとめている最中です。 | ||