茂倉・谷川・万太郎周回。
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    2014年9月8日の気持ち

 茂倉新道登山口を基点の扇形の周回コース。1ヶ月以上のブランクのつけは万太郎の下りで起きた。やっぱり危惧していた通りだったが、何とか完歩したのはエライと自分を誉めてやろう。


    2014年9月8日9時18分
    一ノ倉岳から見る谷川岳

 ガスから出ては包まれる谷川岳。一瞬、オキとトマの両耳が見えた。この先は谷川連峰上部は全体がガスの中に隠れてしまう。
    
茂倉・谷川・万太郎周回計画

 登山の計画を立てるのは面白くて好きです。
 長い行程については計画を立てないとその山行が時間的に可能かどうかが分かりません。だから立てるのですが、そこを一度も歩いた事の無いルートは行程時間を予測するのが難しいのです。
 確かに図書館にもガイドブックはありますし、ネット上にも情報はあります。実際に歩いた記録も載っています。しかし、それが自分に当てはまるとは言えません。
 2〜3時間で登れる山なら予定より遅れても大勢に影響はありません。しかし、10時間を越える山行の場合は、遅れると日が暮れて悲惨な結果になってしまいます。特に自分は極度の近眼なので日照時間内の登山を心がけています。自分に合った過不足の無い計画を立てる事は実際に歩く事以上に重要な事なのです。
 さて今回の、茂倉新道登山口を基点にして茂倉岳、谷川岳、万太郎山を周回するコースは、茂倉岳(一ノ倉岳まで)と万太郎山はそれぞれ単独で登っていて実績はあるので、茂倉岳(一ノ倉岳まで)までの上りと万太郎山の下りはその実績時間を当てます。
 問題は歩いた事の無い、一ノ倉岳から万太郎山のコースタイムをどうするかです。そこで昭文社のエアリアマップ28(1995年)のコースタイムを参考にして、地図の等高線を見てコースが上りなら2割引、下りなら1割引で算出しました。
 単純に上りだけや下りだけのコースは無いと思いますが、今までの経験からいうと大体そんな感じでした。
 ただ周回コースは中間点を過ぎれば戻れなくなるので計算間違いは遭難にもつながるので検算は何度もしました。
 長い行程の場合は少しずつの遅れが全体で大きなものになるので、中間点(オジカ沢ノ頭)での昼食を1時間と長めにして、ここで時間調整を出来るようにしました。
 先に茂倉岳(一ノ倉岳)の上りは実績時間を当てるといいましたが、その時の登山は早く上る事がマイブームで、精神的にも肉体的にも充実していた時期だったので、同じタイムでは登れないとは思っていましたが、目標として設定しました。
 万太郎山の下りも、長い行程の後での疲れで同じ時間では下れないとは思っていましたがこれも目標値です。
 全体の行程時間を算出してみると10時間13分と出ました。これから1時間遅れたとしても日没までは余裕があります。たとえ2時間遅れても吾策新道登山口には日没前に着けるでしょう。後は車道を歩くだけですから。余裕のある計画だと思いました。
 最初の予定では前日に土樽駅付近で車中泊をして翌日登るというものでしたが、車中泊はよく眠れませんし、今年の天候は安定せず刻々変化するので、当日早朝の天気予報を確認してから高速道を使い移動する事にしました。

 計画と実行の差

(1)茂倉新道登山口 am6:00→檜廊下開始 am6:58
  予定 55分
  実行 58分 区間遅れ 3分
 林の中の急登から始まり、緩やかになり一旦平坦になり一瞬下りがある。更に登ると尾根状になるがまだ林の中、時に木立の間から東の尾根が見える所もある。倒木の辺りから檜廊下が始まる。

(2)檜廊下開始 am6:58→矢場の頭 am7:37
  予定 26分
  実行 39分 区間遅れ 13分 累計遅れ 16分
 檜の根の太いハードルが立ちはだかり足場も悪く簡単には進めない。そのうち木立がまばらになり主に西側の万太郎他が見えてくる。前方に矢場の頭が見えてくる頃には視界が広がってくる。リンドウやアキノキリンソウが顔を出している。

(3)矢場の頭 am7:37→1683mピーク am8:13
  予定 32分
  実行 36分 区間遅れ 4分 累計遅れ 20分
 矢場の頭の360度の眺望は見事。これから歩く谷川岳から万太郎山がラウンドビュー。西の奥に苗場山も見える。振り返ると関越道の土樽ICも見える。樹木は無くなり草地の急斜面が茂倉岳の頂上につながる。急傾斜だが山野草はここが一番豊富だ。写真を多く撮った割には遅れは少ない。(ちなみにこの日は全部で249枚撮影)

(4)1683mピーク am8:13→茂倉岳避難小屋 am8:43
  予定 27分
  実行 30分 区間遅れ 3分 累計遅れ 23分
 一旦下って、またひたすら登る。時々ガレ場が現れる。下を向いて歩いているうちにヒョッコリと小屋の段に出る。

(5)茂倉岳避難小屋 am8:43→茂倉岳 am9:00
  予定 12分
  実行 17分 区間遅れ 5分 累計遅れ 28分
 トイレは健在だが、小屋は前はT字型だと思ったが、山側の部分が無くなってI字型になっていた。それでもしっかりした良い小屋だ。窓ガラスのヒビは増えていた。笹原を上って行くと谷川方面が見えてくる。茂倉岳頂上アクセントの北の潅木はまだある。

(6)茂倉岳 am9:00→一ノ倉岳 am9:19
  予定 14分
  実行 19分 区間遅れ 5分 累計遅れ 33分
 谷川の西黒尾根からの登山者(男)1名食事中。日帰りで谷川連峰(谷川〜平標)を登ったという。健脚だ。そういえばネットにも日帰りで茂倉新道から登って平標新道に下りたという女性もいた。自分はマネしません(出来ません)。
 一ノ倉岳までは散歩コース。一ノ倉岳の極小カマボコ避難小屋は変わらずだ。

(7)一ノ倉岳 am9:19→谷川岳トマの耳 am10:17
  予定 52分
  実行 58分 区間遅れ 6分 累計遅れ 39分
 ここからが始めての道。ちょっとワクワク。だが谷川頂上にはガスが湧いている。嫌な予感。
 下って上ると岩峰の連続になる。鎖もある。途中のノゾキで一ノ倉沢や湯檜曽川を下に見て、奥の院で手を合わせる。高い方のオキの耳でミルク色の背景の記念写真。

(8)谷川岳トマの耳 am10:17→オジカ沢ノ頭 am11:24
  予定 59分
  実行 1時間07分 区間遅れ 8分 累計遅れ 47分
 トマの耳もミルク色で無人。肩の小屋に下るとガスの上に強風の追い打ち。ウインドブレーカーに軍手を装備。肩の小屋でも登山客は数人だけ。今日の天気予報は良かったのに。
 エネルギー補給して再出発が、小屋の下で何故かヤブに迷い込み戻る。時間ロス。中ゴー尾根分岐先でオジカ沢ノ頭手前では岩峰が出現。ヤセていたりガレていたりして、しかも強風なので怖かった。

(9)オジカ沢ノ頭(昼食)am11:24→pm12:00
  予定 1時間
  実行 36分 区間遅れ -24分 累計遅れ 23分
 頂上はガスの中で何の感激も無い。2分下るとおむすび断面の高床式鉄製小型避難小屋(カプセル)があった。中は湿った感じなので外で風を避けて昼食。
 お握り1個といなり(小)4個を味噌汁で食べ、パン1個をコーヒーで食べる。お湯を沸かしての昼食だったが36分は早い。お陰で累計遅れを半分取り戻す。

(10)オジカ沢ノ頭 pm12:00→大障子避難小屋 pm12:32
  予定 45分
  実行 32分 区間遅れ -13分 累計遅れ 10分
 オジカ沢ノ頭を下ると草原の尾根になる。そのせいか快調に歩けて累計遅れを最小の10分にしたが、次で遅れ元に戻る。
 小障子ノ頭のように低い所は眺望があり見渡せた。しかし上にはガスが厚く停滞している。風は相変わらず強い。

(11)大障子避難小屋 pm12:32→万太郎山 pm1:40
  予定 56分
  実行 1時間08分 区間遅れ 12分 累計遅れ 22分
 小屋はカマボコ型の典型的な小型避難小屋。入口のドアの上部分は素通しだ。入っていたガラスが割れて無くなったのか?
 ここからが越えても越えても万太郎は遠かった。途中で岩峰があるがオジカ沢のものに比べれば大した事は無い。吾策新道側のような岩峰だったら大変だなと思ったが助かった。この区間はひたすら草原を上るだけ。ガスで先が見えないのがツライ。

(12)万太郎山 pm1:40→大ベタテノ頭 pm2:55
  予定 1時間05分
  実行 1時間15分 区間遅れ 10分 累計遅れ 32分
 万太郎手前の吾策新道分岐を左に3分歩くと頂上。万太郎は4年前と同じガスの中。今回も残念な頂上だった。
 万太郎から分岐に戻り経験済みの道の下りだが、崩壊したラピュタの城を下っているようで怖いし、足にガンガン負担が来る。ただ強風が止んだので助かる。
 ガス帯の下に出て井戸尾根ノ頭を過ぎ、危険なガレ場ロープのトラバースを過ぎれば普通の山の下りになる。一旦上った所が大ベタテノ頭。

(13)大ベタテノ頭 pm2:55→吾策新道登山口 pm4:06
  予定 55分
  実行 1時間11分 区間遅れ 16分 累計遅れ 48分
 谷川連峰に別れを告げ段々と林に入る。ここも楽な下りではなく、ついつい腰を下ろして休む。舟窪を過ぎやっと杉林の端に着く。ここでも腰を下ろして休む。
 下りで腰を下ろすなんて余程疲れているのだ。「ヒーロー、ヒーローになる時、それは今」なんて歌も出ないほど疲れている。

(14)吾策新道登山口 pm4:06→茂倉新道登山口 pm5:00
  予定 55分
  実行 54分 区間遅れ -1分 累計遅れ 47分
 登山口の先に岩を置いたゲートがあり駐車場があったが、1台も停まっていない。朝に会った男2人組に追い越された記憶は無いが、さては周回しないで戻ったか?
 靴の紐をゆるゆるにして足を開放する。車道の歩きは下りの山道に比べれば楽だが遠い。ここに自転車をデポすれば良かったと思ったが後の祭りだった。
 茂倉新道登山口へは近道があるはずだが分からず、浅間平橋まで行き大回りで戻る。勿論途中2回ほど腰下ろし休憩。
 茂倉新道登山口手前で歩いてくる男1名あり。挨拶を返してもらえなかったので話しかけなかったが土合から越えて来たのだろうか。多分土樽駅に向っているのだろう。

○全行程時間の比較
 予定時間 10時間13分
 実行時間 11時間00分
 (参考)ガイドブック時間 13時間16分(行程時間+実昼食時間)
 予定と実行の時間差は47分でしたが、これで収まったのも緩衝材としての長めの昼食時間のお陰です。
 予定を実行に近づけるには過去の実績の時間をそのまま使うのではなく1割増し程度にした方が良さそうです。未踏区間の予定ももうちょっと緩めにした方が良いかもしれません。時間が余る分にはかまいませんからね。
 今回は何故か3箇所の到着時間がキリの良い時間になりましたが意図したものではありません。全くの偶然です。
 熱中症にはならなかったものの極度に疲れたので土産店に寄る気力も無く、帰りも高速道に乗りました。コルプラにはクルーズコントロールが付いているので高速道の運転は楽なんです。