富士登山三題。
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     2011年9月7日の気持ち

草木の無い赤茶けた風景。まるで南米か何処かの鉱山のよう。これが下から見れば秀麗と言われ続けてきた富士山の天辺の光景なんです。絶世の美女の皮膚も顕微鏡で見ればこんなもの?


      
       2011年9月7日(水)
       お釜めぐりの途中
吉田ルートの十合目から噴火口を中心に時計回りで周回中。御殿場ルートの十合目の浅間大社奥社と土産物店の建物が見えてきた。最高峰の剣ヶ峰も見えるがまだだいぶ先だ。ドームが無くなってなんだが寂しい。

 スバルライン五合目駐車場

 自分が着いたのは9月6日の17時30分頃で、この時が一番空いていたようです。暗くなるにつれて次々と車が到着する音がして、出発するハイテンションな「あげぽよー」という声も聞こえて来ました。
 朝の4時に明るくなってトイレに行く時に見回したら五合目の駐車場は満車になっていました。9月になったらもっと空いていると思ったのは間違いでした。
 目にはアイマスクをしてヘッドライトの光は遮りましたが、音は入ってくるのでよく眠れませんでした。駐車場所を選べる時は、両側に駐車車両がありしかもオーナーがすでに山に出ていて留守の車の間を選んだ方が間近の騒音を聞かなくて済みます。後からそう思いました。
 結局は満車になるのだから、隣に空きスペースがあると寝たい時に隣に入ってこられてバタバタされて眠れなくなります。この時の自分の隣には空きスペースがあり、後から来た人達(夫婦?)が天体観測を始めて話し声が聞こえてきました。話し声は内容が聞こえないのに何故か気になり気持ちが休まりません。
 色んな目的の人が富士山五合目に来るのですね。その人達が出て行った後には別の車が入ってきてそれなりの騒音をたてていました。
 また、自分が停めたのは駐車スペースの端で反対側は狭いですが空きスペースがありました。そこに人が入り込んで話をしたり、立ちションをする人もいたようです。この空きスペースには側溝がありグレーチング(鉄格子のフタ)が敷いてあったのですが、朝見ると格子にティッシュが挟まっていたので多分女性のションだと思われました。
 そういえば雨が降っていないのに水の音がするなと思ったのですが、気のせいだと納得していました。トイレまでは暗いので手近で用を足したのでしょうね。


            富士山の山小屋

 吉田ルートの七合目から八合目にかけては赤茶けた山肌に山小屋が連綿と続き、下から見ると山岳民族の集落か、城砦のようです。
 まだ9月の上旬というのに、六合目安全指導センターや九合目の久須志神社、吉田口十合目浅間大社奥社と御殿場口十合目浅間大社奥社や、御殿場口十合目公衆トイレと吉田下山ルート七合目公衆トイレが閉鎖している中で、殆どの山小屋は営業をしていました。
 登山シーズンのピークを過ぎたので、小屋関係者はノンビリしているように見えます。ピーク時はさぞや戦闘のような状態だったのだろうと思います。今は、風に吹かれて落とした登山客の帽子を一段下まで拾いに行く余裕が見えました。
 七合目鳥居荘にはツグミのような鳥が数羽ノンビリと虫を探していました。近づいても逃げないので鳥居荘のシンボルとして餌付けでもしているのでしょうか。そういえば鳥居荘の周りには草つきがあり、生物の営みがありそうです。
 それぞれの山小屋が200円の有料トイレを備え、輸送費を含んだ宿泊飲食サービスを提供しています。
 それにしても山小屋は七合目とか八合目とかを表示していますが、同じ八合目でも太子館は3100mで富士山ホテル第一は3400mと300mの標高差があり、自分の足でも1時間近くの時間差がありました。もっとも富士山ホテル第一は本八合目と名のっており、「本」の意味をくみ取れというのでしょう。頂上までの時間も勿論差があるので、宿泊して登頂する場合はその辺を加味する必要があります。
 なんて思うのは、富士山初心者の自分が、なかなか通り過ぎない八合目帯に業を煮やした経緯があるからなのです。


             私的富士登山

 また富士山に登る事があるのかないのかは分かりませんが、初めてですので一番ポピュラーな、人が一番多く登るという富士スバルライン五合目からのルートを選びました。自分の情報収集不足から、決行日が8月上旬から下旬、そして9月上旬と変更してしまいました。ですが、結果的に9月6日7日という自分の通常の休日には台風が過ぎて好天になり、これ以上望めないほどの好条件の登山が出来てラッキーでした。
 砂礫の上りも溶岩の急登も9合目から上の酸素不足も、長い長い砂礫の下りさえ自分の調子を崩すものではありませんでした。太陽の紫外線や赤外線があったので、時々吹く強風に寒さ感じずに鼻水だけを流しながらも登ったために、後からちょっと風邪気味になりましたが、大した事はありませんでした。
 これだけ歩くと翌日は筋肉痛になるものですが、それにもなりませんでした。往きは上りだけ、還りは下りだけというのは標高は高くても思ったより負担が少ないのかもしれません。それに、一週間前の日本平山に行ってから間を空けずに登ったものだから身体がなまらずに済んでいたのかもしれません。
 日本平山は越後の典型的なヤブ山で、汗をダラダラかいて拭いたタオルを何度も絞って、持って行った2.5リットルの水も全部使い切るほどでした。今回の富士山でも2.5リットルの水を持っていきましたが、1リットルほどが余ってしまいました。汗をかく事も体力を消耗しますが、汗をそれほどかかなかった事で疲れなかったのだと思います。なにより、自分が予定していた時間で登れずに、遅いペースになった事も疲れなかった要因のようです。
 日程の都合で当初の予定の甲武信ヶ岳は割愛しましたが、体力的には2日連続登山も可能だったと思っています。