甲武信ヶ岳周回。
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     2012年10月15日の気持ち

この山よりも信濃川源流の水源地がある事が登山の要因。だから、甲武信ヶ岳は添え物。そして三宝山、武信白岩山(未踏)、大山はついでに登った山。なんて言うと山に失礼ですけど…。


      
   2012年10月15日(月)8時51分
    尾根分岐と甲武信ヶ岳との
    間にある狭い展望台にて。

久しぶりの富士山を望む。遠くでもやっぱり姿はキレイ。遠くだからこそキレイに見えるのだろう。実際登ってみると…。
 暗い中到着した甲武信ヶ岳登山口は人家から意外に近いという感じと、高原に上るはずなのに上り坂を上がってきた感じがしませんでした。もう一つ変に思ったのはヘッドライトに当たった駐車場入口の看板が毛木場となっていた事です。毛木平(もうきだいら)という地名のはずだったので、まだ先に登山口があるのかと疑ってしまいました。
 広い(60台と表示)駐車場には他に1台しか停まっていなくて、自分の車はその車とは離れたトイレ(これが自分には重要)の近くに駐車しました。ポータブルナビの表示によるとここは標高1470mとなっています。3シーズン用の寝袋2つと毛布とパジャマ代わりのフリースの上下を持って来ていたの、で夜中から早朝にかけての寒さには対応出来ました。
 古い扉がきしるような音をたてる鳥か獣の鳴き声の他は静かで申し分のない環境なのですが、やっぱり眠りは断続的となってしまいました。どこでも良く眠れる人が羨ましい。
 朝4時40分に、目覚ましの鳴る前に、どちらかというと眠るのを諦めて起きました。出発は6時の予定ですが、いつも遅れるので早めに起きたのですが…。まだ暗く、空には星が瞬いていました。朝の初まりはまずトイレ(水洗)です。
 少し明るくなると、駐車車両は他に2台だった事が分かりました。その2台とも山には不似合いな幌をしているオープンカーでホンダのS2000とマツダのロードスターでした。未舗装部分は駐車場の手前1km弱なのでスポーツカーでもいいのでしょう。
 昨夜買ったロースカツ弁当を冷たいままでよく噛んで食べ、トイレで用を足し、まだ時間があると駐車場の案内所をウロウロしていたらいつの間にか時間が経ってしまって6時を過ぎていました。やれやれ。
 急いでいたので、トイレ前にあった登山カードは書きませんでした。2台の駐車車両は無人(2シーターで車中泊はしないでしょう)で、朝来たマツダの初代デミオの人は仮眠をとっているようなので、一人での出発です。駐車場はほぼ四角形で、入口が下辺の右の点で、上辺の左の点(対角線の反対側)にゲートがあり、まず林道を歩きます。
 すぐに、周回して戻ってくる十文字峠の分岐(ここにも車が2台駐車)を過ぎ、まだまだ林道が続きます。標高も高く朝も早いので寒いです。寒いのは苦手です。軍手をしていますが帽子は夏用なのでニット帽を持ってくればよかったと思うほど耳が冷たく感じます。それに鼻水がかんでもかんでも出てきます。鼻栓をしたいくらいです。去年の富士山を思い出しました。
 道は林道が終って狭くなっても様子は変わりません。千曲川源流の左岸をひたすらたどります。時々右折して、ジグザグになりますが九十九折というほどのものではありません。岩石がゴロゴロしていますが傾斜は殆ど平坦です。川を左に見ながら歩くので山に登っているという感覚はありません。崩落場所以外は急登というものがないので距離はありますが子供でも楽でしょう。
 ルートは山の北側の谷筋を行くので日が昇り日が当たりそうになっても山懐に近くなるとまた日が遮られます。木も針葉樹が多く落葉しないので日当りが悪く山野草より苔が勢力を張っています。新潟の山などは広葉樹が多く、今の時期は落葉で歩きにくく道も分かりにくくなってしまいますが、この違いは特徴的です。
 寒いので喉はあまり渇きませんが空腹感を覚え、途中でヤマザキのかりんとうドーナツ3個入のうち2個を食べました。疲れた時には稲荷寿司もいいですがこれも良いです。ヘタな土産の饅頭より旨いです。
 そのうち丸木橋で右岸に渡り、支流を渡り、左岸に渡り返した先に千曲川水源地がありました。山ガールが一人熱心に写真を撮っていたので、控えめに挨拶をしましたが声が小さかったせいか返事はありませんでした。下りか上りかも聞けませんでした。
 水源地から尾根分岐までも大した登りもなく、あっけなく着いてしまいました。尾根に上がっても森の中で眺望がありません。左折してしばらくすると木の間が空いているので覗いてみたら狭い展望台で富士山が正面に見えました。やっぱり富士は形がキレイです。
 ちょっとした岩場を登ると甲武信ヶ岳頂上で、ここでも東側と北側はは樹木があるので360度の眺望は出来ません。でもここでやっとお日様にちゃんと当たる事が出来ました。身体が冷えていると動きが鈍い自分は爬虫類です。ここまでで首がこってしまいグリグリ動かします。昨夜の運転の疲れと今朝の寒さで余計な所に力が入ってしまっていたのですね。
 富士山は東側の木の脇から見えました。標柱の石垣に上るともっとよく見えます。他は知らない山ばかりです。新しいデジカメのペンタックスRZ18はここまでに90枚ほど撮りましたがフラッシュばかりで電池切れです。ここで電池交換しましたが、この先もあるので動画を撮るのはやめました。
 甲武信ヶ岳は折り返し地点ですが、この先は縦走らしいアップダウンが出来ます。毛木場から甲武信ヶ岳に登るなら、時間は掛かりますが三宝山や十文字峠を周回して帰るのがお徳です。
 三宝山はこのルート一番の標高ですが、頂上は森に覆われて眺望はありませんし、道が折れ曲がっていなければ見過ごしてしまう所に三角点があるという地味な山でした。
 尻岩は森の鞍部にあり、割れ目があり角が取れて有機的な感じのする大きな大岩です。一見の価値があります。この先の上りでは普通の大岩が点在する間を登ります。
 武信白岩山は手前にはしごのあるニセ白岩山(仮称)から頂上の標柱などが良く見えますが、いざ頂上下に着くと上り口が分かりません。分岐の標柱の辺りにロープで行けないようにしてあるので、この辺が上り口だろうと上がってみますが、急な上、手掛り足掛かりが少なく怖く感じます。ガイドブック(古い)では登れる事になっていたので、ザックを置いてチャレンジしてみますが、最後のひと登りが怖くて上がれずに断念です。そこから下りるのも怖い思いをしました。ここにはしごを架けたり鎖を付けたりすれば上がれるようになるでしょうが、頂上自体が狭く落下しやすいので、しないのではないかと後で思いました。
 大山はこのコースでは甲武信ヶ岳以来の眺望がある頂上ですが、南側はドッシリした女性的な三宝山に遮られているせいか富士山は見えません。頂上の植生はシャクナゲなど背が低い木で、また見晴場所も幾つかあり、場所を替えれば四方八方が見えました。赤城山や妙義山らしき山は分かりましたが、もっと近くの両神山や雲取山や大菩薩嶺が分かりません。一度は登った山なのにね。
 大山ではお湯を沸かし味噌汁とお握り、コーヒーとパンでゆっくり昼食をとりました。さて下山ですが、十文字峠側は鎖での急降下でした。山は向きによって趣が違うものです。十文字峠までは道に木の根が張り出し、下りは特に要注意です。
 十文字小屋は森の中の鞍部に幾つかの小屋が点在しています。手前に白泰山への分岐があり、小屋の先で梓山(毛木場)と三国峠の分岐があるので厳密には十文字にはなっていません。上がって下りるというようにもなっていないので峠という感じもしません。布団干しをしていた女性に武信白岩山の事を聞いたら、普通は登らないと言われました。まあ、確かに普通の人では登れません。
 ここからは下るだけですが、一番の急傾斜はキレイに九十九折になっていて、さすがに小屋の人が苦心しているのだなと思いました。
 最後に毛木場手前で千曲川を渡りますが、これが「く」の字に曲がった山中にしては立派な橋で川から大分上に架けられています。橋は歩行者専用で渡ったら営業ナンバーの軽ハコバンが停まっていました。どこで仕事なんでしょう。
 毛木場駐車場前で後から男女3人組が追いついてきました。朝には停まっていなかった車に入ったので、自分の後に来て甲武信ヶ岳往復をして来たのでしょう。山で会ったとは言いがたいので、結局、往きの千曲川水源地の山ガールが唯一の山で会った人でした。寂しいですが混雑するよりは良いです。
 さあ、これから300km近くを自分で運転して帰らなければなりません。往きは北陸道から上信越道を通り長野周りで来たので、還りは上信越道から関越道を通り群馬周りで戻ろうと思いましたが、群馬周りは距離が長いようでカーナビが「うん」と言ってくれません。仕方が無いのでまた長野周りで帰りました。