菱ヶ岳・五頭山周回。
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     2013年6月6日の気持ち

菱ヶ岳は2度程登っているが、村杉温泉側から登るのは初めて。五頭山系は下越の山にしては残雪が遅くまであるので、それを避けた今回の登山。雪はまだまだ隠れた所に残り、ブヨはまだ出る。


     2013年6月6日12時46分
       五頭山一ノ峰にて

菱ヶ岳方面を望む。この左側の石碑の陰で女性4人が蚊取線香を焚いて休憩中。登って来たルートから「素人」だと言われたとかで姦しい。誰でも最初は素人です。自分はいつも素人の心構えでいます。
 五頭山というのは高くもないし県境にある訳でもないのに奥の深い山です。メインルートの出湯温泉登山口からは、キッチリと一合目毎に九合目まで表示してありますが、十合目となるのが頂上ではない五ノ峰です。
 友情の鐘があり眺望もあり頂上らしい風格もあるのですが残念ながら五頭山の頂上ではありません。友情の鐘を吊るす木枠には「五頭山五ノ峰山頂856m」と書いてあります。
 その先には四ノ峰、三ノ峰、二ノ峰、一ノ峰、前一ノ峰と続き、菱ヶ岳からの稜線と合流した北に五頭山頂上があります。この地理上の本当の頂上に来る人が少ないのです。
 出湯の登山口から五ノ峰までガイドブックで2時間の行程です。五頭山頂上までは3時間です。ハイキング気分なら3時間は長過ぎます。五頭山の頂上ではないと分かっていて五ノ峰でやめる人もいるでしょう。でも、一ノ峰まで来ているのに頂上に来ない人がいるのです。 
 これは表示のせいではないかと思うのです。出湯温泉から五頭山に登る人が、合目表示を信じて七合目だ、八合目だ、九合目だもうすぐだと思って、立った十合目は本当の五頭山頂上ではないと知らされた時、本当の頂上まで行く気力が萎えてしまうのではないかと思います。
 或いは、こんなに苦労したのだからここが頂上でいいじゃないかと自分を許してしまうのではないでしょうか。友情の鐘の上の「五ノ峰山頂」を見て見ない振りをしたりして。家族で来ていればここが頂上だと言い張る事もありえます。
 だって、本当の頂上は四ノ峰、三ノ峰、二ノ峰、一ノ峰の先で、ここまででも疲れているのに、この先もそんなアップダウンをする事には耐えられないと思ってしまうのではないかと思います。
 でも、自分は行くんだと、四ノ峰、三ノ峰、二ノ峰はスルーして、一ノ峰にたどり着き、ああここが頂上だと思ってしまう人もいるでしょう。それらしき堂々とした石碑があり360度の眺望ですから。ここが頂上であるとは表示してありませんが、頂上ではないとも表示してありません。知らなければここが頂上に間違いないと思うはずです。
 いや、頂上は一ノ峰の先のはずだと知っている人は、その先の、前一ノ峰に行ってこれこそが本当の頂上だと思うでしょう。表示はありませんが見晴しが良いし、これこそ頂上だと確信してしまいます。一ノ峰で休んでいる人は本当の頂上を知らなくて可哀想だなんて思ったりします。やっぱり苦労して来た甲斐があったと満足してしまいます。
 いえいえ、五頭山に素人の皆さん、五頭山の本当の頂上はその先の何の変哲も無い、登山道の途中の東側を伐採して広げたような所なんですよ。このように五頭山には頂上トラップが仕掛けられていて本当の頂上にたどり着く人が少ないのです。
 そうそう、今回は菱ヶ岳から周って来て三ノ峰からどんぐりの森キャンプ場に下ったのですが、下ってすぐに9/10とあったので、このルートも頂上ではなく尾根に上った所にすぐある三ノ峰を十合目としているのだなと思いました。
 どんぐりの森キャンプ場に下ってみたら、ここが三合目となっていました。駐車場から近いここが三合目という事は何処を基点にしているのでしょうか。よく分かりません。
 五頭山は頂上ではなく尾根に上るまでを合目表示するという不思議なやり方をしています。知らないと騙されちゃいますよね。
 ところで、本当の五頭山頂上は、以前は坪庭みたいな可愛い頂上だったのですよ。狭いけれど特徴のある、途中の五ノ峰や一ノ峰からは想像出来ないほどの可愛い頂上だったのですよ。それを誰かが切り開いて何の特徴も無い土の出た堕落した頂上になってしまったのですよ。
 こんな所を切り開いて何を見ると言うのですか。眺めは五ノ峰や一ノ峰に任せておけばいいのですよ。五頭山に来る度に悔しい思いに駆られます。
 閉鎖した五頭高原スキー場は植生復活事業で雑木が植えられゲレンデから里山に復活しました。五頭山頂上も植生復活させて昔の坪庭に戻して欲しいですね。阿賀野市さんと阿賀町さん。