裏巻機割引岳経路。
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     2013年9月9日の気持ち

裏巻機は初めてなのに、新旧のルートの周回を計画したが、割引岳に上るだけでやっとだった。それでも登山口に戻ったのは日没間近だった。他人が言うように並の山では無い。キビシー!

      9月9日11時15分
    割引岳への笹尾根にて

右の尖っているのは割引岳の前山。左のなだらかに見えるのが割引岳。北の懐に残雪を抱いている。予定では30分前に着いていなくてはならないのだが…。予定は未定で決定では無いと誰かが言った。
     
 裏巻機ルートにチャレンジしてみようと思って、ネットで検索しましたがなかなかありません。唯一と言えるのが、2010年8月22日に登ったワシ&ハッシーさんの記録で、五十沢キャンプ場から新道を割引岳に登り、巻機山から井戸尾根を桜坂に下りています。この記録の上り部分をそのまま拝借しました(有難うございます)。
 計画では新道で割引岳に上り、旧道で牛ガ岳から下るつもりだったのですが、前夜に車中泊している最中も本降りの雨が車の屋根を叩いていたので、新道を巻機山往復する事に変更しました。当日は晴れていても前夜まで雨で、知らない難路をしかも下りで使うというのは危険と判断したのです。
 ワシ&ハッシーさん(以下WHさん)は、50代くらいの男性ともっと若い女性です。ペアや団体で登っている人達に早い人はいないと思い込んでいたので、自分も同じかそれ以上早く登ってやろうと思っていました。これが誤算だったのですね。トレーニングも水泳さえもやっていない還暦のなんちゃって山男の自分は充分不遜だったのです。
 ルートはWHさんが探勝路入口まで車道を登ったのに対して自分は導水管点検路を登りましたが、他はまったく同じ道です。WHさんは割引岳まで5時間24分、自分は6時間16分かかってしまいました。
 しかも、WHさんは暑い8月に登っているのに、自分は涼しい9月に登っています。シンパシーを頂けるとしたら、自分が登った日の前夜まで雨が降っていて、道が濡れていて滑りやすかったという事だけです。
 今回の反省とこれからの課題を探るために検証してみます。

 ☆裏巻機新道割引岳ルート区間別比較

 @導水管点検路→裏巻機自然探勝路入口
 自分 5時35分〜6時24分(49分)
 WHさん 49分

 導水管点検路の入口は何の表示もありませんが、五十沢キャンプ場に入る手前の右に手摺付きの階段があるので分かります。
 道は最初は杉林で暗いのですが、ジグザグに高度を上げるにつれて森から出て景色も見えるようになります。導水管は小さな橋で3回渡ります。道の階段に少々の崩れはありますが、草刈がしてあり歩き難い事はありませんでした。運が良ければ?カモシカが見れるでしょう。
 WHさんと同タイムですが、WHさんは長い車道を上っているので、自分はトイレタイムがあったとはいえWHさんの速さが分かります。

 A裏巻機自然探勝路→割引岳登山口
 自分 6時24分〜7時07分(43分)
 WHさん 31分

 自然探勝路は殆ど水平で一人が歩くには充分な幅もあり、樹脂被覆のワイヤーも壁に装着してあり、観光客でも歩けるようになっています。岩を道幅に削った所とか切り通しの所は中国の名所のようにも思えました。
 ただし、昨夜までの雨で水量が増し、幾つか道を横断する沢の中で、割石沢と坪池沢だけは飛んで来る飛沫や流れに足を着かなくてはいけない事もあり恐怖を感じました。
 この平坦な道でもWHさんとは全然スピードが違います。言い訳をすれば、初めての裏巻機渓谷で写真を撮り過ぎたせいでしょうか。今回は上り下りで274枚撮りましたからね。

 B割引岳登山口→大窪沢
 自分 7時07分〜8時40分(1時間33分)
 WHさん 1時間27分

 前の地図を見ると登山口はもっと取水口の近くにあったようですが、小滝沢のすぐ先に変更になっています。割引岳ルートは裏巻機の新道と呼ばれていますが、尾根に上るまでは新道の新道という事になります。
 ここは金城山の東尾根の一つが五十沢川に落ち込む所です。岩は少ないですが急傾斜に変りありません。最初から急登でロープは所々に設置してあります。新しいロープもあるので今も整備はされているようです。
 登山口から40分くらいで尾根に上ると一旦森から出て、左前方の山や後方の六日町が見えます。そのあとはまた森に入り二つの小沢を越えて、尾根越えの頂点を越えて下りになります。
 下りになってからもなかなか沢に下りずトラバースしながら大窪沢の上流に誘導されます。
 やっと大窪沢に下りましたが、水が多く飛び越える石も見当たらないので、手ごろな石を沢に入れその周りを小石で補強して足場として越えました。
 ちょうどここで500ccのドリンクを飲み干したので、沢の水を汲みました。頂上で沸かして味噌汁やコーヒーとなります。
 この区間はWHさんとあまり変らない時間です。

 C大窪沢→稜線
 自分 8時40分〜9時46分(1時間06分)
 WHさん 51分

 稜線と言っても表示が無いので、WHさんと同じ場所なのかどうかは不確かですが、当らずとも言えど遠からずだと思います。
 この区間が自分は一番キツク感じました。金城山の裾尾根を越えたのが児戯と思えるようにこの悪路には手こずりました。直登とトラバースの連続で、ロープも沢山あるのですが如何せん急登が多過ぎます。枝や笹を掴んで上らなくてはなりません。
 急登よりもトラバースが危険です。濡れている上に足場が無いので左手で笹や枝を掴みながら歩かなくては滑落の危険があります。
 実際に、細く切れ込む急沢を越える時、掴んだ草が切れて3m下に落ちて左ひざを強打してしまいました。段になっていたので3mで助かりました。
 草を掴みたくて掴んだ訳では無く、他に掴むものが無かったのです。しかも足を置く場所も無かったのです。ここは帰りも恐怖でした。
 この区間は15分の遅れですが、悪路が雨上がりで滑りやすく滑落したのも原因かもしれません。

 D稜線→笹原入口
 自分 9時46分〜10時44分(58分)
 WHさん59分

 この笹原もWHさんと同じ場所を言っているか不確かですが、丈の高い笹が始まる場所なので合っているでしょう。
 稜線に出ても潅木で視界は遮られるのですが、岩尾根(仮称)に出てからは眺望し放題です。早い朝食で腹が減り、この区間で2度間食をしました。一度はゼリー飲料を飲み、しばらく歩いてからそれで足りなくてお握り1個も食べました。自然探勝路のみやて小屋で朝食をとれば、途中でこんなに腹が減らなかったのに思いました。
 この区間は幾つか段(ピーク)を越えて歩くのですが、やっと登山の面白さが体感出来る道になって来ました。
 この区間はWHさんとほぼ同じです。

 E笹原入口→割引岳望む笹尾根
 自分 10時44分〜11時13分(27分)
 WHさん 20分

 割引岳望む笹尾根と言ってもその表示は無いので大体です。アップされた写真で判断しました。左になだらかに見える割引岳があり、右に三角のピークが見える位置です。上記の写真の2分ほど前です。
 最初は丈の高い笹が続いて最初だけ刈ってなかったのですが、しばらく行くと草刈機が置いてあり、その先は刈り込んでありました。人はいませんでしたから、草刈機をデポしておいて必要な時に草刈りに来ているのでしょう。
 15分ぐらい歩くと笹の丈も短くなり、山野草の花が目に付くようになりました。今日は気温は低く快適な高原歩きです。ここを堪能するために森の中の急登やトラバースがあったのだと思えば、価値はいや増します。
 本当は、計画では30分前に割引岳に着いている時間だと思いながら、かと言って歩を早めるでも無く見た目は淡々と歩いていました。内心は疲労感が勝っていて、つい休みたくなる身体を叱咤しながら歩いていました。

 F割引岳望む笹尾根→割引岳頂上
 自分 11時23分→11時51分(28分)
 WHさん 27分

 上の写真にもある三角ピークの登りが急で足場が無く、掴まるものも無いので往生しました。下りはもっと怖かったですがね。
 三角ピークに上るとすぐ長崎からの道と合流します。長崎方面へはロープを置いてあるので、行けない(道が整備されていない)という印なんでしょう。
 そこから見る割引岳は始めてみる西の顔で下に小さな池塘が一つありました。ここからが最後の上りになりますが、三角ピークと違って普通の登りです。脇に小潅木があり掴まるものがあるせいか安心です。
 ヌクビ沢から登って以来の割引岳です。すでに予定時間もオーバーしているので、巻機山へは行かずここで休んで同じ道を戻る事にしました。6時間を越える上り時間という事は、下りでも5時間はかかるだろうと思っての事です。13時に出れば18時の何とか日没前に戻れるという計算です。実際、その通りだったのです。

 G上り行程時間集計
 自分 5時35分〜11時51分(6時間16分)
 WHさん 5時40分〜11時04分(5時間24分)

 合計で52分の遅れです。各区間を見ると自分も健闘しているのですが、少しずつの遅れが52分の差になったようです。
 中でも自然探勝路での12分の遅れは、自分の弱点の平坦地や下りで遅いというのが露呈してしまいました。
 自分のこの時間は何度やってもそれほど変りは無いと思います。これが自分のスタンダードな行程時間です。同じコースを巻機山まで行くなら自然探勝路入口から歩き始めなくてはならないでしょう。
 次回が何年先になるか分かりませんが、旧道の牛ガ岳ルートにもチャレンジするつもりです。ひょっとしたら旧道を上りにすれば周回出来るかもしれないと、捕らぬ狸の皮算用をしています。その意味でも今回は下り時間(5時間03分)も把握出来たので収穫は充分です。