山本山JR発電所。
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    2017年8月27日の気持ち

 正式にはJR東日本信濃川発電所(千手発電所、小千谷発電所、小千谷第二発電所の総称)と言って、この山本調整池から小千谷発電所に通水して発電している。ではこの水は何処から来るかというと同じくJRの千手発電所から出た水(一部)が流れて来ている。

    2017年8月27日10時33分
       山本調整池にて

 右奥に見えるのがなだらかな頂上台地を持つ山本山。今日は結局裏側から登る。近くを通った時に見えるこの池の長い土手を、いつか歩いてみたいと思っていた。今日その願いが叶う。
   十日町に行く時、国道117号線を通る車中から発電所部分を見ていましたし、雪峠を通り川西へ行く県道49号線からも貯水池の土手は見ていました。今回初めて池に上ってみました。結構大きいですね。
 小千谷発電所はJRの山手線へ送電していると聞いていました。あの有名な山手線の電車は新潟県の小千谷の小さな(比較的)発電所が動かしていると知って、新潟県人(今は)としては得意になりました。
 小千谷発電所は揚水式だと思っていましたが、今回調べたら調整式だと分かりました。何故揚水式だと思い込んでいたのでしょう。それが分かりません。昔は揚水式だったなんて事は無いですよね。

JR東日本の水の取り過ぎ問題

 2008年9月にJR東日本は10年に渡って超過取水していた事が判明。宮中取水ダムは十日町の上流にある為、多く取水されると流域を流れる信濃川の水量が減り、その地区の人々に様々な問題を引き起こしていた。
 それが重大な問題として2009年3月にはJR東日本の水利権取り消しになり宮中取水ダムからの取水停止となった。JR東日本は関係のある十日町市や小千谷市、当時の川口町にお詫び金を出し、地域振興策も了承し、翌年には試験放流の名目で5年間の発電が出来るようになり、2015年6月に水利権の更新をした。
 水力発電の運用様式について

 流れ込み(自流)式
 水を貯めずに河川からそのまま流す方式。ダムがいらないので建設コストが低い。発電量は河川の流量に左右され、必要な時に必要な量は確保出来難い。この方式は意外に多い。

 調整池式
 調整池に1日分または1週間分程度の量を貯めて、必要に応じて発電量を調整出来る方式。比較的貯水量が少ないが、小千谷発電所(と小千谷第二発電所)の調整池はJRの山手線を動かす為か結構大規模。山手線が動いている間だけ発電が出来るので効率的。

 貯水池式
 大型のダムの多い貯水量で長期の電力の需要変動に対応。年間を通じた発電量の調整が出来る。

 純揚水式
 発電所の上下に調整池を作り、夜の間に余った電力で下の池からポンプで汲み上げた水を昼の間流して発電する。河川から池に流れ込む水が殆ど無い方式。無駄なようにも見えるが、必要な時に使える電力を水の形で貯めておくもの。

 混合揚水式
 上記と同じ原理だが、河川から上部の池に自然流入もある方式。

 自分の知っているダム

 山登りが趣味なので、登山口や登る途中でダムや堰に出会う事が多い。ざっと考えてみると下記の通り。

○小千谷発電所の山本調整池
 調整池式 管理=JR東日本 小千谷市
 山本山の入口にある。この上に山本第二調整池があるので、一般的には第一調整池と呼ばれている。土手と道路で周回出来る。休日はランナーがいる。
 JR東日本の信濃川発電所は、その概要図によると、信濃川上流の宮中取水ダムの宮中取水口から取り入れた水を浅河原調整池に入れ、その水を使って千手発電所に流し、さらにその排水された水(の一部)を山本調整池に取り込んで、小千谷発電所に流している。小千谷第二発電所には宮中取水ダムの宮中第二取水口から取った水を山本第二調整池に入れて、それを小千谷第二発電所に流している。でも図を見ると第二取水口から取った水は浅河原調整池も経由しているように見える。ちょっと複雑な構造になっている。

○三面ダム 
 貯水池式 管理=新潟県 村上市
 鷲ヶ巣山の登山口近くにある。登山で前夜、二子島森林公園でキャンプした事がある。

○大石ダム
 貯水池式 管理者=国土交通省 関川村
 立烏帽子への登山口途中にある。杁差岳へのルート途中。電気事業者は荒川水力電気(東北電力と日本軽金属の出資)。

○胎内川ダム
 貯水池式 管理=新潟県 胎内市
 風倉山の登山口。ここに駐車して登山。発電は直下の風倉発電所で胎内市が管理。

○胎内第一ダム
 調整池式 管理=新潟県 胎内市
 黒石山の登山口。ダムの中を通って対岸へ渡る。二王子岳へは行けなかった。

○加治川治水ダム
 貯水池式 管理=新潟県 新発田市
 焼峰山の登山口。蒜場山はダムを渡って対岸から登る。防災専用ダムなのに予告無しに放水して親子二人が巻き込まれたのは猛省を促したい。役目は主に治水。直下に焼峰発電所を持つ。

○早出川ダム
 貯水池式 管理=新潟県 五泉市
 日本平山の登山口でダムに駐車。アブとヤマヒルに要注意。発電は直下の田川内(たこうぢ)発電所で行う。

○笠掘ダム
 貯水池式 管理者=新潟県 三条市
 光明山の登山口近く。近年ダムの嵩上げ工事で県道通行止でダム見学も光明山登山も不可。平成29年度に完成予定。

○刈谷田川ダム
 流れ込み式 管理=新潟県 長岡市
 道院高原への登山口で守門岳の登山口途中。洪水防止や水利の多目的ダム。発電は10年後から。河川を維持する水量を流すので流れ込み式。だからダムの水量は少ない。

○破間川ダム
 貯水池式 管理=新潟県 魚沼市
 浅草岳や守門岳登山口の手前にあるがダムサイトへは行った事が無い。発電は電源開発が担当。

○田子倉ダム
 貯水池式 管理=電源開発 福島県只見町
 福島県側だが浅草岳登山口の近くにある。浅草岳頂上からは手を広げたような形の湖が望見出来る。日本第2の発電量(日本第1は奥只見ダム)

○奥只見ダム
 貯水池式 管理=電源開発 福島県桧枝岐村
 荒沢岳や平ヶ岳登山口近くまでダム湖はあるがダムは遠い。昔、尾瀬に行くのにバスで枝折峠を越え奥只見湖を船で尾瀬口まで行った。今は一度だけだがスノボで春に奥只見丸山スキー場に行った。日本第1の発電量。

○谷根(たんね)ダム
 上水道専用ダム 管理=柏崎市 柏崎市
 米山登山口より奥にあるのでまだ行った事は無い。登る途中でダム湖は見える。

○三国川(さぐりがわ)ダム
 貯水池式 管理=国土交通省 魚沼市
 中ノ岳や丹後山、本谷山に行く時通る。高倉山の登山口の近くでもある。岩を積んだロックフィルダム。発電は東北電力が五十沢第二発電所で行っている。三国川ダム管理用発電所は国交省管理。

○永松発電所の調整池
 調整池式 管理=東北電力 南魚沼市
 裏巻機登山口にある。長い導水菅の点検路を登る。小千谷発電所の調整池に比べれば小さい。

○海川第一発電所の堰
 流れ込み式 管理=電気化学工業 糸魚川市
 海川に堰を設け取水。海谷渓谷を歩いた時通ったが、取水はしていなかった。その下流で膝上の水量の渡渉をした。海谷三山登山口の近くにある。

○笹ヶ峰ダム
 調整池式 管理=新潟県 妙高市
 妙高山、火打山、焼山などの登山口近くにある。ダム湖(乙見湖)は焼山のルートからも見えた。ここもロックフィルダム。主に農業用のダムで、発電は東北電力が西野発電所で行なっている。秋にダムサイトに行った時はカメムシが発生していた。

 あとがき

 ちょっと調べただけでもダム建設に関してはダムの名を冠した様々な事件があったようです。それは役人と住民の戦いで、結局は住民が辛酸を舐めさせられた上に、役人に押し切られています。それは今も変わりませんね。
 今はダムカードというものがあって、それぞれのダムで発行しています。無料なので今度行ったら貰って来ましょう。
 いつもどおり、多少の間違いは関知しません。